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2012年4月25日認知症医療

アルツハイマー病研究会 第13回学術シンポジウム(その2)

アルツハイマー病研究会 第13回学術シンポジウム(その1)の続きです。

 「J-ADNIからの報告」東京大学 岩坪威先生の講演でした。岩坪先生はJ-ADNI(Japanese Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative:日本アルツハイマー病脳画像診断先導的研究)の責任者の一人です。

 J-ADNIは、平成19年から始まったアルツハイマー病研究の一大プロジェクトです。米国で行われたADNIが大きな成果を収めたので、日本でも同様の調査・研究をしようということで、厚労省、経産省、文科省、製薬会社などから予算をいただき、全国38の大学病院などで600人の被験者を対象として行われています。現在データは各研究機関で解析中ですが、すでに得られた最新情報を講演の中で発表していただきました。

 最も印象的だった結果は、MCI(Mild Cognitive Inpairment:軽度認知障害)と診断された方が、1年後にアルツハイマー型認知症と診断された割合が29.6%だったということです。欧米の研究では10%台の数字でしたが、今回の研究ではかなり高い数字が出ました。MCIと診断された患者様の3人に1人が1年後にアルツハイマー型認知症になる、という結果です。したがってMCIと診断した患者様とご家族様には必ず、半年毎の受診を指示する必要があるということになります。私の外来では今までそのように指示してきましたが、その重要性を再確認しました。

 最もいけないパターンは「家族がもの忘れに気付く→医療機関受診する→「記憶力が悪くなっているが認知症のレベルでない」と診断される→「認知症ではなかった」と安心する→その後もの忘れがひどくなり徘徊などもするようになる→数年後に再度医療機関受診する→「すでに重度の認知症で治療法がない」と言われる」という医療機関に2度拒否されて治療の機会が失われるパターンです。こうした悲劇を繰り返さないためにMCIと診断した患者様をきちんとフォローアップしていくことが重要です。

医局Y.M

アルツハイマー病研究会 第13回学術シンポジウム(その1)
アルツハイマー病研究会 第13回学術シンポジウム(その3)

アルツハイマー病研究会ポスター.jpg

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