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2012年6月22日認知症医療

第27回日本老年精神医学会 -その2-

日本老年精神医学会-2.jpg

第2日目は初めての試みとなる特別企画がありました。

「若井晋・克子夫妻のアルツハイマー病に対するパラダイム 
―若年性アルツハイマー病を患う高名な脳神経外科医とその妻の人生の軌跡―」
です。若井晋先生は東京大学医学部を卒業後、脳神経外科医として研鑽を積まれ、1996年独協医科大学脳神経外科学教授、52歳で東京大学大学院医学系研究科国際地域保健学教授に就任されました。2006年2月に「若年性アルツハイマー病」と診断され、3月に退職されました。医師が認知症になって、この病気を当事者としてどのように捉えるのか?という大変意義深い企画です。先生はすでに長い文章を話すことができなくなっており、2010年6月に撮られたインタビュー形式のDVDを流して、その後で司会者からの質問に先生が答え、奥様が補足の説明をするという形式でした。

DVDの中で「どうして私がアルツハイマー病になったのか?自分が悪いことをしたからこうなったのか?とずっと考えていて最近ようやくそういうことではないと分かった。そこに至るまで相当格闘した。この病気はどうしようもない。何もできない。多くの人がそのように考えていると思う。私はそのことに対し、少しでも医師の皆さんにそうではないことを言えれば良いと思う。」と述べていらっしゃいました。

奥様のお話では、病気を受け入れた後も闘いは続いていたこと。「病気を患うことが今の仕事」と考えて、諦めずに日々元気に生きていくようにしていること。最近では「高橋はどうした?(最近逮捕された高橋容疑者)」と何度も同じこと聞くので、その度に「高橋は捕まりましたよ」と何度も答えているということ。同じ質問に何度も答えることに奥様は「もう慣れてきました」とおっしゃっていました。

「病気を患うことが今の仕事と考える」ということは患者様やご家族様へ良いアドバイスになると思います。

 医局Y.M.

 

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